目黒エリア情報紙ターミナル春号の裏表紙を担当しました。
囲炉裏の木組みのような煤けて黒ずんだ茶色が煤竹色。煤で漆黒の古木のようになった風情ある色は「時間と生活」が染み込んだ力強さがある。日本には「四十八茶 百鼠」と言われるほど茶とグレーが多いが、特に茶色が流行したのは江戸中期。幕末の財政難から贅沢禁止令がたびたび出されていたが、それに抵触しない色として茶色やグレーに人気が集まった。地味になりがちで“野暮”にもなる色だが、江戸庶民はそれを逆手に とり、軽妙酒脱な“通”好みの色として“粋”に着こなし、花街へと繰り出した。決して自らは鼓舞することはないが、本質を見定め存在感を示す大人の色で、江戸っ子の“難”さえ“楽”に変える知恵と意地が詰まった色である。
古布コラージュ・アーティスト 住川 信子
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