目黒エリア情報紙ターミナル夏号の裏表紙を担当しました。
藤は、つる性の植物で枝垂れる花が風に揺れる様を波に見立て て詠むのが「藤波」、花が風に散る様子を「風散」と呼ぶとか。日 本人と関わりが深い藤は、家紋や名字にも多く登場し、枕草子で は「あてなるもの(上品なもの)」「めでたきもの(すばらしいもの)」 として、藤の花を絶賛しています。歌舞伎でおなじみの『鏡獅子』 の前半、お小姓の弥生の衣裳も藤色。いかにも品の良い大奥のお 小姓姿で、優雅な振袖姿が初々しく、後半の豪快な獅子の姿と見 事な対比をなしています。上村松園の日本画にも藤色の衣裳は多 く登場しますが、藤の花言葉は “ 優しさ、歓迎、恋に酔う ” とか。 “ いかにも ” という言葉が並びますが、情熱の赤と理性の青の両面 を持ち合わせるバランスの色とも言えます。
古布コラージュ・アーティスト 住川 信子
http://www.sumikawa-nobuko.com/